びんリユースシステム維持発展のための宣言

〜持続可能な社会の実現を目指して〜

令和元年5月19日
全国びん商連合会

私たち「びん商」は、古くは江戸時代から「樽(たる)」を、明治時代になりガラスびんが大量生産されるようになってからは、一升びんやビールびんなどのガラスびんをリユースすることを生業としてきました。

樽
お酒

一方、1950年代以降、廉価で汎用性を持つ、プラスチック製品が爆発的に増加しました。21世紀に生きる我々は、もはや何らかのプラスチック製品に触れずに一日を過ごすことは不可能と言えるでしょう。
ガラスびんが保存・流通を担ってきた飲食料品の分野においても、主要な容器はプラスチック製に変遷し、日本中のみならず世界中に、大量に流通しています。長らく我々はその利便性を享受してきましたが、昨今、その恩恵に反比例する大きな負債を、無自覚に積み重ねてきたことが明らかになってきました。

海洋プラ
ペットボトル

世界経済フォーラム(WEF)の推計によれば、世界の海洋にはすでに1億5000万トン前後のプラスチックが漂っており、この現状が続くと、2050年までに浮遊するプラスチックの量が海洋中全ての魚類の総重量を上回るといわれています。
この海洋プラスチックや、プラスチックごみの劣化などで発生するマイクロプラスチックが生態系に深刻な影響を与えており、将来的な人体への健康被害の可能性にも言及されているところです。
いま、世界は脱プラスチックに舵を切ろうとしています。そういったなか、私たち「びん商」だからこそ出来る事があるのではないか。この宣言はそのような思いから生まれました。
私たちが扱うリユースびんは、何度も繰り返し使うため、容器自体がごみになることはありません。また、繰り返しリユースすることにより、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出を低く抑えることが可能です。
もし、破損してしまった場合でも、新たなガラスびんの原料としてリサイクルすることができます。さらに、ガラスびんは、珪砂・石灰・ソーダ灰といった、自然界に存在する原材料で作られており、環境中に排出された場合でも、自然への影響はごく僅かと言えるでしょう。
プラスチック製容器をはじめとする他素材容器が多く流通し、海洋ごみ問題、二酸化炭素が原因とされる地球温暖化問題が顕在化しています。そういったなか、メーカ−や消費者のみなさまが再びリユースびんの環境優位性に注目し、リユースびんを活用した社会を構築することができるよう、私たちは以下の事項を宣言します。
 

1. 私たちは、びんリユースシステムの担い手として、責任をもってリユースびんの回収に当たります。

 

2. 私たちは、びんリユースシステムの普及、啓発活動を推進します。メーカー、消費者のみなさまがいつでもびんリユースシステムを活用することができるように、システムの維持、発展を目指します。

 

3. 私たちは、運搬用車両の環境負荷や、工場内で使用する電力・水使用量を削減し、常に最も環境負荷の低いびんリユースシステムの方法を選択します。また、洗浄しやすいびんの形状や、剥がれにくく落としやすいラベルの研究を継続します。2050年までに、びんリユースシステムにおける二酸化炭素排出量の「実質0(ゼロ)」を目指します。

 

4. 私たちは、びんリユースシステムの最適な方法を、常に模索、検討し、提供します。従来からの酒販店回収はもとより、スーパー、コンビニチェーン等からの回収方法に関しても、調査・研究し、回収拠点の拡大に努めます。自治体回収からも質の高いリユースびんが回収できるように、分別方法、回収方法についての知見を深め、広く提供していきます。

 

5. 私たちは、全国的に効率のよいびんリユースシステムを構築するため、中小びんの規格統一に関する研究を進めていきます。一升びんのように全国のメーカーが等しく使用することができるような、リユース特性の高い規格統一びんを広めていきます。

 

6. 私たちは、びんリユースシステムに係わる関係者と連携・協力していきます。


50年後、100年後の世代にも現状の環境を残すことができるように、「全国びん商連合会」は、ガラスびんのリユースを通じて持続可能な社会の実現を目指していきます。